「中島さんも元気?」
屈託のない笑顔でそう訊ねてくる仁織くんを、疑わしげにじっと見つめる。
「元気だけど。それより、どうして仁織くんがあたしの弟たちやその幼なじみの名前を知ってるの?」
怪しむあたしに、仁織くんは心底不思議そうな表情で首を横に傾げてみせた。
「あれ、言わなかったけ?俺、小学生のときちょっとだけ美姫ちゃんの地元に住んでたんだよ。小5のときに理皇のほうと同じクラスで、何回かみんなで家に遊びに行かせてもらったこともあるし」
「聞いてないけど」
「そっか、ごめんね」
仁織くんがへへっと笑いながら、悪びれのない顔で謝ってくる。
小学生のときの弟のクラスメイトだったんだ。
それだったら、弟たちや夢羽ちゃんの名前を知っていたとしても頷ける。
だけど、「仁織くんストーカー疑惑」はまだ消えてない。
だって……
「じゃあ、あたしの好きな食べ物を知ってたのは?」



