「あとさ、理皇と玲皇がよく一緒にいる幼なじみの子いたよね。名前、何だったっけ?えーっと……」
仁織くんが視線を上に向けながら、考え込む。
名前は覚えてないにしても。
いや、覚えてない演技かもしれないけど……
弟たちの幼なじみの女の子のことまで指摘されて、ますますおかしいと思った。
仁織くんの話は、どれも真実なのだ。
あたしのお向かいには、弟たちの幼なじみの女の子が住んでいる。
弟たちとその子は、小さい頃からいつも一緒で仲がいい。
「それって、夢羽(ユウ)ちゃん?」
ますます濃厚になってくる「ストーカー疑惑」。
あたしは何かあったらすぐ走り出せるように、椅子から軽く腰を浮かせるようにしながら弟たちの幼なじみの名前を口にした。
「そうそう、思い出した。中島 夢羽だ」
あたしが夢羽ちゃんの名前を告げると、仁織くんがポンと手を叩いた。
そのときの仁織くんは、忘れていたことを思い出せて喉のつっかえが取れてすっきりしたような……そんな顔をしていた。
もしこれが夢羽ちゃんの名前を忘れているフリをしているという演技なら、主演男優もの。
そんな感じに思えた。



