「あ、そういえば……」
クッキークリームのアイスを半分ほど食べ終わった頃、仁織くんがあたしを見ながら首を傾げた。
「聞くの忘れてたけど、理皇(リオ)と玲皇(レオ)は元気?」
突然、仁織くんの口から聞き慣れた名前が出てきたからドキッとした。
「どうして、弟たちの名前知ってるの?」
仁織くんが口にしたのは、彼と同い年のあたしの双子の弟たちの名前だった。
弟たちは仁織くんと同い年だけど、学校は違う。
あたしの地元は高校が立地する場所から電車で1時間くらい離れた場所にあるから、仁織くんが弟たちの名前を知っているのはおかしいと思った。
あたしってば、すっかり仁織くんのペースにのせられて結局ふたりでアイスクリームなんか食べちゃってるけど……
この子は、あたしの好きな食べ物とか朝食の好みとか。
家族ぐらいしか知らない情報を知ってたんだ。
そのことを思い出すと、ふーたんが冗談混じりに言っていた「仁織くんストーカー疑惑」がなんだか現実味を帯びてくる。
あたしは椅子を引くと、仁織くんからちょっと距離をとった。
そんなあたしを不思議そうに見ながら、仁織くんがまた口を開く。



