駅前のアイスクリーム屋さんに寄ったあたし達は、それぞれ好きなフレーバーのアイスを買って道路に面したテラス席に座った。
「次は絶対、俺が美姫ちゃんにアイス奢るね」
そう言ってコーンの上に乗ったクッキークリームのアイスにかぶりつく仁織くんに顔を顰めてみせる。
「次なんてないから」
冷たく言い返したけど、仁織くんはそんなこと気にもとめていない様子で、あたしを見ながらにこにこ笑っていた。
アイスクリーム屋さんについたあたしたちは、それぞれフレーバーを選んだあとにレジの前でどっちが奢るかでちょっと揉めた。
お互い「自分が、自分が」って財布を出して押し合ってたら、レジのお姉さんに迷惑そうに咳払いされ……
結局、今日のところは割り勘に落ち着いた。
店の人には迷惑がられるし、後ろのお客さんには笑われるし。
こんなシチュエーション今までにないから、恥ずかしかった。
イチゴ味のアイスを食べながら、呑気ににこにこ笑う仁織くんを恨めしげに睨む。



