「そんなじっと見られたらドキドキするんだけど」
顔を覆った指の隙間から、仁織くんの恥ずかしそうな顔が覗き見える。
その反応が、ちょっと可愛かった。
なんだ。
こんな表情見せられたら、やっぱり弟たちと同じくらいの中学生だ。
人の調子を狂わせるような言動ばっかりするからつい振り回されかけてたけど、年下の男の子っぽい仁織くんの反応にあたしにも余裕が出てくる。
「ちょっと長く顔見られたくらいでドキドキしちゃうんだ?そんなんじゃ、年上は口説けないよ」
意地悪く笑うと、仁織くんが額から手をはずして不満そうにあたしを見てきた。
「あ、今ちょっとバカにした」
拗ねたような声を出す仁織くんの姿が、ふと同い年の弟たちと重なる。
あいつらとアイス食べに行くと思えば、ちょっとくらい付き合ってあげてもいいかな。
なんだかそんなふうにも思えてきた。
「アイス、付き合ってあげてもいいよ」
「ほんと?」
あたしがそう言うと、仁織くんの瞳がきらりと輝く。



