あたしが置かれてる状況がよっぽど面白いらしい。


「また何かあったら教えてよ」

「もう何もないよ。教えられた番号だって消したし」

「えー、ひどい」

大げさに眉を寄せるふーたんから顔をそらす。

頼まれたって、もう会いたくない。


思いきり口角を引き上げて、ちょっとあどけない表情で笑う仁織くん。

教室の窓の外を睨んだあたしの脳裏にふと思い浮かんだのはなぜか彼の笑顔で。

その残像を打ち消すように、小さく苦笑いした。