「あたしのどこを好きになってくれたの?」
あたしの問いかけに、今井くんは照れ臭そうに目を伏せた。
「どこって。それはやっぱり、藤村さんてすげー美人だし。それに、同学年の他の女子より落ち着いてて、クールなとこがなんかかっこいいっていうか……」
「へぇー」
今井くんの話を聞いて、また一緒だって思った。
美人…かどうかは自分ではちょっとよくわからないけど、「落ち着いててクールなイメージがある」っていうのは告白されるときに男の子からよく言われる。
でも、それは告白してくる男の子たちがあたしに対して抱いてる勝手なイメージだ。
どちらかと言うと人見知りするあたしは、初めての場所やあまり親しくない人とはそんなに饒舌に楽しそうに話せない。
高校入学時から仲良くしてくれている親友のふーたんと話すとき以外は、だいたいが話の聞き役だ。
黙って会話を聞きながら、いつも「うん、うん」と頷いてたら、知らない間に「落ち着いててクール」なイメージを押し付けられた。
それは中学生のときからそうで。
受験をして地元から電車で一時間ほど離れた、中高一貫のこの私立の進学校に入学してきても全然変わらなかった。