「じゃぁ言い方変える。キスだけじゃ我慢できなくなりそうだから、あんまり可愛いこと言わないで」
仁織くんの言葉に顔を赤くするのは、今度はあたしのほうだった。
そんなこと、さらっと真顔で言われたら、あたしはどんな反応をすればいいの。
手のひらで口元を覆うと、仁織くんの、あたしよりもひとまわり大きな手が重なって、そのままそっと引き剥がされた。
「美姫ちゃん、顔真っ赤」
仁織くんがダークブラウンの髪を揺らしながらけらりと笑う。
「だって……」
反論しようとすると、仁織くんの人差し指がそれを制止するように唇に触れた。
「待ってて。年の差は埋まらないかもしれないけど、俺、すぐに美姫ちゃんに追いつくから。美姫ちゃんより子どもだなんて、誰にも言わせないくらいに」
ダークブラウンの瞳が、強い意志を持って輝く。
あたしを見つめる仁織くんの表情は、はっとするくらいに大人びていて。
側から見たら、あたしの方が幼く見えてしまうかもしれない。



