「やっぱり、絶対慣れてる……」
唇が離された瞬間、息を整えながら涙目で訴えかけると、なぜか仁織くんも不貞腐れた顔をした。
「そう思うのは、美姫ちゃんが応えるのが上手いから。そっちだって慣れてるくせに」
そっぽ向いた横顔に、ほんの少し嫉妬めいたものが垣間見えて、ちょっと嬉しくなる。
「ねぇ、それ、ヤキモチ?」
にやけたながら訊ねると、仁織くんがあたしのほうに恨めしげな視線を向けた。
「別に。ただちょっと、これまで美姫ちゃんにキスしてきた男に、後ろから石投げつけてやりたいくらいイラっとしてるだけ」
「何?その姑息な攻撃方法」
仁織くんの反応が可愛くて、思わずクスクスと笑ってしまう。
いつまでも笑っていると、不機嫌そうな表情を浮かべていた仁織くんに引き寄せられて、腕の中に閉じ込められた。
「笑いすぎ。美姫ちゃんは俺の元カノがどうこう言ってたけど、ほんとは俺のほうがもっと美姫ちゃんの過去にムカついてるからね」
その言葉とともに強く抱きしめられて、ドキッとした。



