温かなその手を離す覚悟を決めながら、あたしはようやく伝えるべき言葉を口にした。
「ほんとは、仁織くんのことすごく好き。好きすぎて、仁織くんの過去にどうしようもない嫉妬するくらい……それくらい、仁織くんが大好き」
こんなふうに、誰かにきちんと想いを伝えるのは初めてかもしれない。
心臓が破裂しそうなくらいドキドキして、倒れそうなくらい手も足も震えてたけど。
言い切ったら、気持ちを素直に認めたら、心に詰まっていたものがすっきりとした。
この先振られてしまっても大丈夫。
たぶん、すごく傷付くけど……
ちゃんと伝えられたから。
つかんでいた仁織くんの手を離そうと力を緩める。
そうしたら、あたしとは逆に力を込めた彼に手を引かれて、身体ごと全部一気に持っていかれた。
「あー、やばい。ここが外じゃなかったら、俺、今絶対に美姫ちゃんのこと押し倒す」
仁織くんの柔らかな髪が頬をくすぐる。
耳元で聞こえた、何かを押し殺したような声を聞いて初めて、抱き締められているのだと気が付いた。



