「だからもうしばらくは傷付きたくなくて、彼氏なんていらないって思ってたのに……」
だから、あの日。
高等部の裏庭で、告白してきた今井くんをいつもより冷たい言葉で退けたのに。
「なのに、どうしてくれるのよっ!」
半分泣きながら叫んだら、仁織くんが大きく目を見開いて肩を揺らした。
これは完全に引かれて嫌われるな。
そう思ったけど、この際だからもう全部ぶちまけてしまいたかった。
仮に仁織くんと付き合えたとしても、きっとまた気持ちの温度差が広がって、「イメージと違う」って言われて振られるんだ。
それなら、今振られたほうがまだ傷は浅いのかもしれない。
「文化祭の日、ひどい言葉で傷付けたのは、仁織くんの元カノに嫉妬したから。仁織くんにあたしの他に想ってた人がいたってわかって、嫉妬心を抑えきれなくて、思ってもないこと言ったの。だけどほんとは……」
まだつかんだままの仁織くんの手を、いっそう強く握りしめる。



