「元カノのあの子としてたの?」
「え、っと……」
あたしの問いかけに、仁織くんは答えることなく気まずそうに視線を反らす。
その反応こそが質問の答えだってわかってたけど、ちゃんと仁織くんの口から聞くまでは認めたくない気持ちもあって。
彼の両肩をつかんで逃げられないようにしてから、真っ直ぐに視線を合わせた。
「してた?」
強い口調で、もう一度ゆっくり訊ねる。
すると、仁織くんが観念したようにため息を吐いた。
「そ、そりゃあ付き合ってたし。俺も男だし、ちょっとくらいは……」
はっきりとした答えじゃなかったけど、それはあたしの心を揺さぶるのには十分だった。
仁織くんを見据える瞼が、急激に熱くなる。
「男だしって何?あたしのこと初恋とか言っといて、もしかして他にも元カノいた?」
「いや、いないけど……」
「ていうか、元カノとどこまでしたの?エッチとかもした!?」
さらに熱くなる瞼から溢れ出しそうになる涙を堪えて、感情に任せの言葉を投げ付ける。
それを聞いた仁織くんは、興奮するあたしの肩を落ち着かせるように抑えると、慌ててきょろきょろと辺りを見回した。



