「美姫ちゃん、好き」
仁織くんの、濡れた唇が小さく震える。
「や、だ……」
だから、もう何度目かになる彼からの「好き」の言葉に、ついぽろりと本音が漏れた。
「え?」
「違う、そうじゃなくて!」
仁織くんが素直に、思いきり傷付いたような顔をするから、慌てて首を横に振る。
つい誤解されるようなことを言ってしまったけど、あたしの真意は言葉のそのままの意味じゃない。
「どうしてそんなキス慣れてんのよ、中2のくせに」
手の甲を唇にあてながら、仁織くんの目を真っ直ぐに見つめる。
仁織くんは、一瞬戸惑うように瞳を揺らしてからすぐに耳まで真っ赤になった。
「そんな、別に、慣れてなんか……」
そんなわけないし。
1回目はともかく、2回目は余裕で、絶対に初心者のキスじゃなかった。
あたしなんてすごくドキドキして、身体がふわふわして、キスされただけで舞い上がりそうだったもん。
口ごもる仁織くんを、睨むようにじっと見つめる。



