「美姫ちゃん?」
あたしが漏らした笑い声を揶揄いだと捉えたのか、仁織くんが顔を覆っていた手を外す。
拗ねているような、不満そうな目でこっちを見た彼に、あたしはまたクスッと笑ってしまった。
「何?」
不服そうな声を漏らす仁織くん。
だけどあたしが笑ったのは、彼の表情が可笑しかったからだけじゃない。
そのまま大声を出して笑いそうになるのを必死で堪えながら、カバンからポケットテイッシュを取り出す。
「ついてるよ、アイス」
少し近づいて、唇の周りに付いていたチョコレートアイスをティッシュで拭き取る。
そんなあたしを、仁織くんが呆然とした顔で見てくるから、また笑みが溢れた。
「ガキだって思われないように頑張るんでしょ?アイスいっぱいつけて、宣言したそばからさっそくダメじゃん」
クスクスと笑っていると、目の前で、ダークブラウンの瞳が揺れた。
仁織くんが、表情を硬く引き締める。
不意に真顔になった彼に胸を震わせたのも束の間、視界がぐっと狭くなって、唇が塞がれた。



