「ごめん、続きはまた今度会えたときでいい?」

そう言って、仁織くんが早足で歩き出す。


「待って」

慌てて引き止めようと手を伸ばしたけど、それは彼に届くことなく宙に落ちた。


どんどん離れていく仁織くんの背中が、無言であたしのことを拒絶しているように見える。


その背中を見つめるあたしの鼓動が、ドクドクと早鐘を打っている。


バカなことを言った。

今さらになって激しく後悔した。

ひとりで苛立って、感情的になって……

3つも年上だっていうのに。

これじゃぁまるで、あたしの方が子どもだ。