「でも、ごめん。それでもやっぱり、俺、美姫ちゃんのこと好きだって思う」


切なく響く仁織くんの声に、これ以上ないくらいに胸が締め付けられる。

あたし、ひどいこと言ったのに。

そんなこと言われたら、堪らないじゃない。


「あ、たし……」

今すぐ謝らなきゃ。

そう思って口を開いたとき、仁織くんがシュンと小さく鼻を啜った。

見ると、不自然な笑みを浮かべる彼の目が薄っすら赤い。

じっとその目を見つめると、仁織くんが慌てたように手のひらで目元を隠した。


「これは見なかったことにして忘れて」

そう言いながら、彼がくるっとあたしに背を向ける。


「仁織くん……」

「ごめん、美姫ちゃん。今、全然余裕ないや」

表情の見えない仁織くんの声は言葉に反して余裕げなのに、その肩が微かに震えていた。



「仁織くん、あたし……」