でも、だったらさっきの彼女は?
あの子は確かに、仁織くんと付き合ってると言っていた。
「さっき、彼女があたしのところに来たよ。『仁織に近付くな』って怒られた。彼女じゃないなら、あの子は仁織くんの何?」
「それ、どんな子?」
「小さくて、可愛い子」
あたしを睨みつけてきた彼女の容姿を思い返しながら、わざと、誰にでも当てはまりそうな曖昧な情報を彼に与える。
「んー。サヤ、かなぁ」
口元に指をあててちょっと考えてから、仁織くんがひとりの女の子の名前を口にした。
「ごめん、その子たぶん元カノ」
上目遣いにあたしを見ながら、仁織くんが少し気まずそうにぼそりと零す。
「元、なんだ……?」
仁織くんに返す、声が掠れる。
仁織くんのこと、呼び捨てで呼んでたから近い距離にいた子なのかなと思ったけど。
そっか、あの子。元カノなんだ。
ちょっと気が強そうで、小さくて華奢で可愛い。
仁織くんは、あぁいう子が好みだったんだね。



