「遊びなら、もう仁織に関わるのをやめてください」
彼女の言葉が、あたしをイラッとさせた。
下手な言い訳をするつもりはない。
だけど、あたしは仁織くんと一緒にいて、「遊び」だなんて思ったことは一度もない。
今まで付き合った相手だって、そう。
いい加減に誰かと関われるほど、あたしは器用じゃない。
彼女があたしにどんなイメージを抱いていようが勝手だ。
でも、人のことを大して知りもしないくせに、あたしと仁織くんの関わりまでを否定されるのは嫌だった。
「どうしてあなたにそんなこと言われないといけないの?」
初めてのあたしからの反論に、彼女が少し驚いたように瞬きをする。
だけどすぐにまたあたしをきつく睨みつけてきた。
「先輩、まさか本気とか言わないですよね」
彼女がフッと鼻先で笑う。
「あたし、付き合ってますよ。仁織と」
「え……?」
ズキンと、胸に鈍い衝撃が走る。
いま、何て……?
明らかな動揺をみせたあたしに、彼女が勝ち誇ったように笑いかけてくる。
「じゃぁ、失礼します」
セーラー服のスカートの裾を翻し、彼女が軽やかな足取りで去っていく。
その場に残されたあたしは、彼女に与えられた衝撃の大きさに、しばらく動くことができなかった。



