Sweet Puppy Love



「え、っと。失礼なこときいてごめんなさい。あたし、前にあなたに会ったことある?」

彼女の気迫に怯えながら、戸惑い気味に訊ねる。

すると彼女がちょっと涙目になりながらあたしを睨みつけてきた。


「先輩は、あたしのこと知らないと思います。でも、先輩にどうしても言いたいことがあります」

彼女の様子からして、その言いたいことはあまり良い話ではなさそうだ。

一歩後ずさって身構えたとき、彼女がすっと息を吸い込む。

それから、あたしに向かってひと息に吐き出した。


「これ以上仁織に近付くの、やめてもらえませんか?」

彼女の言葉に、あたしの身体がその場で凍りつく。

直感的に良い話ではないと思ったけど、そこに仁織くんが絡んでくるとは思わなかった。


緊張しているのか、今にも泣きそうな顔をしてあたしを睨みつけてくる彼女は、小柄で華奢な可愛い子だった。

中学生で化粧っ気のない肌はつるんとしてて綺麗。

瞬きする度、微かに震える睫毛も長くて。

将来もっと美人になりそうな女の子っぽい子だ。

仁織くん、学校でモテてるみたいだから、彼を好きな子のひとりなのかな。

でも、さっき仁織くんのことを呼び捨てにしたよね。

呼び捨てにできるくらいには近い関係にある子、ってこと……?