知り合いではないはずなのに、こっちに歩いてくる彼女がやたらとあたしの顔を見てくる。
あたしの顔、何か付いてる?
あ、焼きそばの青海苔かな。
さりげなく口元を手の甲で擦りながら、なんとなく彼女に軽く会釈する。
その瞬間、彼女がカッと大きく目を見開いた。
え。あたしの顔、そんな驚かれるほど変?
仁織くんに会う前に、トイレ寄って鏡見たほうがいいかな。
「あ、あの!」
急いでその場を立ち去ろうとすると、中等部の女の子に呼び止められた。
「あの、あなた、藤村美姫先輩ですよね?」
「え?あ、はい」
知り合いではないはずなのに、フルネームを知られていたから驚いた。
思わず背筋を正したあたしを、彼女が大きな目を見開いてじっと見てくる。
セーラー服のスカートの端をつかんで、あたしに挑むように仁王立ちになっている彼女からは、異様な緊張感が漂っていた。



