手際よく焼きそばを作っていた仁織くんが、お客として店の前に立った中等部の女の子に話しかけられて顔をあげる。
いわゆる営業スマイルというやつなんだと思う。
文化祭といえど、クラスの焼きそば屋さん、繁盛させなきゃいけないし。
だけど、笑顔でその女の子に対応する仁織くんを傍から見るあたしの心中は複雑だった。
彼の笑顔を真正面から受け止めているのがあたしではない別の女の子。
その現実が、心をモヤモヤさせる。
「あ、美姫ちゃん!こんなとこにいた」
仁織くんの姿をじっと見つめていると、後ろから肩を叩かれた。
肩越しに振り向くと、いつの間にやってきたのか、夢羽ちゃんがにこにこと笑っている。
「このお店、長蛇の列だね。焼きそば屋さん?美味しいのかなー」
「ユウ、あっち見に行かねぇ?」
夢羽ちゃんが興味深げに教室の中を覗き込んだとき、背後から急に玲皇が姿を現した。



