苦笑いを浮かべながら、顔をあげる。
すると、少し先に異様に人が集まっている教室があった。
他の教室は人がまばらなのに、その教室だけは廊下にまでお客さんの列ができている。
パンフレットの地図をちらっと見ると、どうやらそこが仁織くんのクラスの焼きそば屋さんみたいだった。
うわ。さっきの子が言ってたとおり、本当にすごい人気だ……
廊下にできた長蛇の列を見つめて唖然としていると、人をお客さんの列を掻き分けるようにして、教室から誰か出てきた。
グレーの甚平を着た男の子で、どうやら焼きそば屋をやってるクラスの子らしい。
「すいませーん。思った以上に来ていただいてて、調理が間に合ってません。並んでいただいてるのに申し訳ないですが、焼きそばはひとり2個まででお願いします!」
グレーの甚平の男の子が、両手でメガホンを作って列に並ぶお客さんに向かって大声を出す。
なんだか整った顔立ちの子だなーとぼんやり思って見ていたら、後ろの並んでいた中等部の制服の女子が列から身を乗り出してその子に声をかけた。



