と言いたいけれど、その言葉はどうにか飲み込んだ。
誰に迷惑かけているわけでもないのに。
好きで付き合っているわけでもないのに。
なのにどうしてわたしが否定されなくてはならないの?
それに、健太郎くんのことを『好き』という気持ちはないけれど、この人の世間体のために健太郎くんが悪く言われるのはいい気がしない。
「今度はいつ来るの? 」
もうこれ以上は話しをしたくない。
早く帰ってほしくてわざとこんな言葉を選んだ。
「……美桜、あなたねぇ」
予想通り、この人の言葉は勢いを落とした。
「冬休みはおばあちゃんの家に帰るから。だから年末年始はわたしのことは気にせずにお仕事してていいよ」
「また向こうに行くの? もういい加減に、」
「いい加減に……、なに? 」
わたしが睨みながらその先をたずねると、この人は言葉を続けようとはしなかった。



