あれから何年も月日が過ぎていった。


おだやかな風が桜の枝の間を通り抜けると、あの日と同じように花びらが一斉に舞いはじめる。



誘ったってだめだよ、もう願わないって決めたの。



けれど、



叶わない願いと分かっているなら、……願ってもいい?




なのに差しのばした手のひらをからかうように、桜の花びらはかすりもしてはくれなかった。