どんよりとした低い雲の合間から、朝の光が射し込むように抜け出ている。
でもこの冷たい空気の中ではその暖かさを感じることはできそうになかった。


この空みたいに、学校へと向かう生徒たちは冬休みが終わってしまった喪失感を抱えながらも、久しぶりに友達に会えたことをよろこんでいて楽しそうだった。


わたしも同じように喪失感を抱え、それにプラスして

『健太郎くんに再度別れ話をする』

という大きな荷物を背負って……、
むしろ引きずりながら重い足取りで教室にはいった。


すでに文乃の席を囲むように純輔、智香は教室で話をしていた。もちろんその中には健太郎くんも混じっている。

わたしは自分の席に荷物をおいてみんなの側に近寄ると、気づいた3人は『久しぶりー』と嬉しそうに、健太郎くんだけはぎこちない笑顔で、わたしを迎えてくれた。

わたしは健太郎くんの顔だけはまともに見ることができなくて、でも素っ気なくならないように「おはよう」と笑いながら肩のあたりに声をかけた。