……夢、だったの?


ううん。

夢ならいいのにって何度願ったことか。


呼吸を整えながら手の甲で涙を拭うと、ここが自分の部屋ではないことに気がついた。


そっか、わたしおばあちゃんの家に帰ってきてたんだった。


時間を確認しようと、サイドテーブルに置かれた目覚まし時計に顔を向けると、冷たい髪が頬にベッタリと貼りついてきた。

溢れた涙は髪と枕を氷のように冷たく濡らしていて、沈んでいる心をさらに不快にさせていく。


張りつけられたかのように重い体を無理に起き上がらせてカーテンを開けると、わたしの気持ちとは全くの真逆の天気。
青く透き通っている空が、朝日の向こうに高く広がっていた。


今日に限ってこんなにいい天気だなんて。


あの日もこんなに晴れていたらあんな事故なんて起こらなかったかもしれないのに。
わたしもついて行っていればおばあちゃんを守れたかもしれないのに。

押し寄せてくる後悔に流されないように、わたしはカーテンをぎゅっと握りしめた。