『上へ行かなきゃ、ホントに溺れて死んじゃう!』
 キョロキョロとまわりを見る。
 
 上は、どこ?

上も下も。
同じにしか見えない。

『早く、もどらなきゃっ。』

 私は手を伸ばす。
 水面に一度は届いた腕も、やがて沈んでしまった。