「ねえ?そこの君」


え?誰?

周りを探すが誰もいない。


「こーっち」

上?

空を見上げる。
木の上に男の子が座ってる。


「さっきから呼んでるの、あなた?」


「やっと気づいた?」


その男の子はりんごを丸かじりしてる。

「りんご…」


「ああ、これ?好きなんだ、りんご」


「私も…」


「君も好きなの?」


「私の名前も林檎っていうの」


驚いたように彼は私を見る。


「林檎か、美味しそうな名前だね」


微笑みを浮かべるその表情にあるえくぼが印象的だった。


「俺の名前は依吹(いぶき)
君、1年生?」


私は頷く。


「じゃ、1つ下だ。よろしく。
そうだ、りんご食べる?」


そう言ってどこからかもう一つりんごを取り出す。
魔法のようだ。


「た…べます…!」


「そう。ほらっ」


りんごを上から投げて渡された。

そのりんごの味は、とても


「甘い…」


「だろ」


そう言って彼は笑顔になる。






これが依吹先輩との出会いです。