奏が帰り際に浩志の事を心配していた。


あれも、今なら理解できる。


浩志は自分の意思に背いて穂月と行動を共にしているのだ。


奏はきっとそれを心配したのだろう。


「穂月には、司がいるのに……」


そう言ってみても、簡単にあきらめがつくものじゃないのだろう。


この写真を見ていると、浩志の穂月への想いが強い事もわかる。


あたしは写真を元に戻し、必要な教科書を鞄に詰めるとよろよろと部屋を出たのだった。