少しでも遠くへ行きたかった。


あたしなんていなければいいのに。


それはあたしがイツキだったころに毎日のように感じていたことだった。


こんなに苦しい毎日を送るくらいなら、あたしなんて死んでしまえばいい。


「一緒だ……」


走りながらあたしは呟いた。



穂月とあたしは同じだ。


あたしなんていなければいい。


あたしがいなくなればいい。


そう思いながら毎日を生きていたんだ。


生まれてすぐに母親に捨てられた穂月。


その時点できっと生きていく意味なんて無くしてしまっていただろう。


それでも里親に引き取られて懸命に生きていたのに……。


そこまで考えて、立ち止まった。


気が付けば涙が頬を流れて落ちていた。


驚いて涙をぬぐう。