「3年に上がったら推薦してもらうんだよねぇ?」


何も答えない奏に穂月が更に質問をした。


奏の目が穂月の前で止まる。


「でもさぁ、今まで人をイジメてたってバレたら、どうなるのかな?」


そこまで聞いてあたしは穂月の考えがわかった。


浩志と天真にグループをやめられた司たちは焦っているのだ。


だからこうして奏を脅し、グループを辞めさせないように仕向けているのだ。


奏の体が硬くなる気配がした。


呼吸も荒くなっている。


「推薦、してもらえないかもしれないね?」


いやらしくほほ笑む穂月に奏が一歩後ずさりをした。


「そんなことをしたら、穂月や司だって立場が悪くなるんだぞ」


見ていたれなくてあたしはそう言った。


途端、司があたしの襟首を掴んで引き寄せた。


近づいた距離にタバコの臭いがあった。


「へぇ? 誰が俺たちの事をチクるつもりなんだ?」


司の、タバコで黄ばんできる前歯が見えた。


ゾクリと背筋が寒くなる。


今まで司や穂月にやられていたことが走馬灯のように思い出された。


司はいつもタバコを吸い、時々その火をあたしに押し付けた。


それはただの暇つぶしで、本当になんとも思っていないような目であたしを見るのだ。


痛みに悲鳴を上げるあたしの口を塞ぎ、更に暴力をくわえるのは穂月だった。