そう思いながらベッドを下りて鞄に近づいた。


鏡がないから自分の姿を確認することができない。


鞄の中から教科書を取り出して名前を確認する。


その瞬間「え……?」と、声が漏れていた。


あたしが想像していた2人の顔がかき消される。


代わりに現れたのは夏斗の顔だった。


「なんで?」


教科書に書いている名前は山口夏斗だったのだ。


司か天真が夏斗から教科書を借りていて、返し忘れているのかもしれない。


そう思い、他の教科書やノートも確認していく。


そのすべてに夏斗の名前が書かれていて、あたしは茫然としてしまった。


なんで夏斗の体に?


夏斗は直接あたしをイジメたりしていない。


イジメの傍観者という立場だ。


だけど、それだけなら他のクラスメートだって同じだった。


みんなイジメの傍観者だ。