目覚める度に、傷ついて

あたしは小さく頷いた。


「レッスンが終ってから誰もいないレッスン場に呼ばれたの。もう少しでデビューだって言われた。でもその後すぐに抱きしめられて、逃げようとしたらもっと強く抱きしめられて……太ももを触られた」


言いながらあの時の感触を思い出して顔をしかめた。


ゴツゴツとした男の手が優しさのかけらもなくあたしの体に触れたのだ。


そこに愛情なんてもの、感じることはできなかった。


あの男はデビューを口にしながら女の子の体を弄んでいるんだ。


「それ、本当なの?」


ようやく事態の重大さに気が付いたのか、母親が青ざめてそう言った。


「本当だよ」


「レッスンがキツイから嘘をついてるんじゃないだろうな?」


「それはないわ。ユメノは今嘘はついていないわよ」


父親の言葉に返事をしたのは母親だった。


ちゃんとユメノの事を見ているようでホッと胸をなで下ろした。


「神崎さんが、そんな事を……」


父親は唖然としてソファに座り込んでしまった。


本気でショックを受けているようで呆然としている。


「ユメノ、他には大丈夫なんでしょうね!?」


ハッと気が付いた母親がそう聞いた。


あたしは中途半端に首をかしげる。


ユメノがどこまでやられているのか、あたしにはわからない。


だけど、ユメノはずっと我慢し続けてきていたのだ。