何を言われるのかと待っていると
男は優しく私の頬を触ってきた
?「どれだけ我慢してきたんだ」
「…え?」
何を言ってるんだ…こいつは…
我慢してきた?
そんなこと、今まで誰も言わなかった…
言う奴なんていなかったのに…
私は怖くなった…誰かに私を知られるのが…
誰かに自分を知られるのが怖い…
「我慢?…そんなもの、してませんよ(ニコ」
笑うんだ…けして誰にも知られたら駄目…
私は、もう誰ともいたくない
大切な物をつくりたくない…
?「無理して笑うな」
駄目だ…この人には通じないんだ…
今まで普通に騙せてきたことでも
この人を騙すことができない…
なら、方法は1つしかない…
逃げるんだ…この人から逃げるんだ…
この人と一緒にいてはいけない
早くこの人から離れないと…
私は無我夢中でそれだけを考え、
思い切り男を押し、車のドアを開けた。
?「おい!」
「私には…生きる価値がないんです(ニコ」
動いている車から飛び降りたからか
その時は風景が全て、スローに見えた。
side百合 end

