いくら忘れようとしても
私の頭にはこの言葉が流れる。
一生忘れさせないためのように…


どんな頑丈な鎖でも、私にはこの言葉が
鎖なんだよ…



        ガチャッ



男「こい、お前の出番だ」




男がそう言って私の首についている
鎖を力いっぱいひっぱり、
目隠しをつけられる。


どこに連れて行かれるのかわからないが
少しすると人の笑い声が聞こえてきた。
そして、座らせられた私は目隠しを取られ、
目の前の光景を凝視していた、



客「次はどんな奴かなぁ」


客「外国人とかがいいですなぁ」



なんなんだよ…こいつら…
この世の中…こんな奴らしかいないわけか…


司会「おまたせいたしました!
   今宵最後の商品、両親共に日本人っ
   この容姿!」


男が私に指を指した瞬間に向かってくる
光に私は目を細めて、思った


光ってさ、いろいろな種類があるよね?
希望への光、夢への光…
人は小さい頃にそういうものを見るというけど

私が見たことあるのは、
絶望と闇へ導く光なんだよね…
この光も、きっといい事なんて…何もない…






司会「では、1億から!」



うわ、以外に高いんだね
そんなに高く売れるわけ?
まぁ人に値段付けるのも可笑しいんだけどさ


なんて、今から売られるって言うのに
なに呑気なこと考えてんだろ…
私が薄ら笑みを浮かべていると値段はどんどん上がり、
最後に聞こえてきたのは『3億』という声…


顔を上げてみると、
これまた立派なお腹を出したデブの男が
汗をかきながら番号札を上げていた

ほら、やっぱり…こんな奴に買われるなんて
最悪だな…


そう考えているとまたどこからか
叫び声が聞こえてきた。



?「5億!」



あたりはざわめきだし、
そう叫んだ声が聞こえた方を見ると、
堂々と椅子に座りながら、
両側にいる男2人のうち1人が
番号札を上げていた。


私はその時、そこだけ世界が違うと思った



?「聞こえませんでしたか?5億と言ったんです」


司会「は、はい!で、では5億で落札!」



鐘の音が響きわたった瞬間に
座っていた男は私の方に近寄ってきた。
警戒しながら見ていると、
男は目の前でしゃがみ込み優しく微笑んだ。