願いが叶ったその時…





光「若姐さん?」


「…あ、ありがとうございます。
 でも大丈夫ですよ、これもリハビリです」



そう言って私は差し出された手を取らず
手摺りに手を伸ばし自力で立ち上がった。



「光琉さんはゆっくりしててくださいね?」




微かにだけれど、光琉さんの手は
震えていたように見えた。
今まで話さなかったけど、あの人はたぶん…
女の人にトラウマがあるんだ。


人にはそれぞれ言えないことがある
それを聞く権利なんて私にはない。





休み休みリハビリを続けていると
夏風が帰ってきたようだ。
ドアの開いた音と一緒に私はドアの所まで
手すりを使いながら歩いていく。


「おかえり夏風(ニコ」


夏「ただいま…随分歩けるようになったな」


「うん」



優しくほほえんでくれた夏風は
私のことを優しく抱き締めてくた。
まだ実感のわいていない私は、
そっと夏風の背中に手をおくだけ…