願いが叶ったその時…





夏風は敬語で話すと不機嫌になる
どうやら他人行儀みたいなんだと
言われたけど…元々他人なんだよね…
って言ったら怒られそうだから黙っとこう



夏「じゃあ、行ってくる」


「いってらっしゃい、椿さん、
 夏風の事頼みます」


椿「まっかせてぇ!」



さて、無口の人と2人になったけど
これからどうしたらいいのやら…
話しかけても無視されそうだし
ここはゆっくり歩み寄った方がいいかな…



「えっと…よ、よろしくお願いします?」


光「…はぁ」



だめだ、私この人と会話できないっ
いやいや、まだ一言二言交わしただけ
諦めるのは早いはず!



私は壁を使いながら
夏風が手摺りをつけてくれたところまで歩く
まだフラフラするけど
病院にいたころよりはマシな方だ。

このままいけば、手摺りなしでも
歩けるかもしれない…


私は思い切って手摺りから
手を離し、二、三歩歩けたことに
喜んでいたが力が抜けて転んでしまった。



「いたた…」


光「大丈夫ですか、若姐さん」


「え、あ、はい(苦笑」



私は差し出してくれた
光琉さんの手を取ろうとした寸前で
その手を止めた。