願いが叶ったその時…







普通の人なら、極道の若頭だからと
近寄っていく者、怖がる者がいるかもしれない
だけどそれは…この人自信を見ていないからだ。


『草薙夏風』という1人の人を…



「夏風、私は今まで貴方が若頭であることを
 知りませんでした。」


夏「あ、あぁ」


「私が数日に見てきた貴方は
 『草薙組の若頭、草薙夏風』ではなく、
 この地球の存在する1人の人である
 『草薙夏風』を見てきたんです(ニコ」


私はたぶん、この人の事を知らなくても
怖いと思うことはないと思う
だって、この人の瞳は…こんなにも優しいから…



夏風は今まで我慢してんだろう
人からの視線を気にして、
周りからの声を気にして…
お父さんに会ったきっかけが喧嘩と言ってた時も
何かあったのかもしれない…



夏「…お前は、俺を見てくれるのか?」


「え?」


夏「若頭の俺でなく、1人の人として…
  見てくれるのか?」


「…勿論です」



私はいつも自分を隠して生きてきた。
誰にも自分の周りを探らせることはなかった。
親友だと言っている者でも、
私は自分を明かさない。


いつ裏切られてもいいように
相手にも深くは関わろうとしなかった。
過去を知られれば、私は1人になる。
誰も私には近寄ってこない…
知られてはいけない…けして誰にも…
そう私が、望んだから…


夏風には…夏風だけは…絶対に知られたくない

私は自分の肩に置かれた夏風の頭を撫でながら
そんな事を考えてしまった。


夏風は、こんな私を知ったら…どうなるのかな



夏「…百合、俺の女になってくれるか?」


「え?」



『オレノオンナ』?
それはつまり、若の嫁になるってこと?
無理だ…無理に決まってる
こんな訳ありの女…しかもオークションで
買った女なんかが若頭の嫁なんて!



夏「俺はお前が好きだ」


「なっ////」


この人は恥ずかしげもなく
よくそんな事を…



夏「駄目か?」


「うっ……わ、わかりました」


夏「そうか(ニコ」



ウルウルさせていたと思ったら
なんで急に笑うのよ!
こんなのにおちない女がいる?
あー!駄目だ…もうなんか、駄目…
性格崩壊してってる…


コーヒーを飲んでいると
突然なった夏風の携帯。
夏風は立ち上がって少し離れたところで
電話にでた。

10分ほどがたち、夏風が顔を険しくして
戻ってきた。



夏「…百合…お前、学校はどうする?」


「っ」



学校と聞いた瞬間に思い出したのは
あいつらの事だった。
深入りはしないとはいえ
あの人達は違うと思い始めてのこの事態…
さすがに顔を合わせるのは…正直キツい…