百「泣か、ないでよ…美紀」


美「っ、百合!?」



ずっと目を覚まさなかった百合が
そっとを目を開けてこちらを見ていた。
友人を見るも微笑みながら
頭をなでていた。

本当なら泣き叫んでもいいのに
こいつは人の前で泣くことをしない
目を離してしまえばどこかに行きそうで
怖くなる…



美「ねぇ百合、教えて?
  あの日、『桜花』の連中に何をされたの?
  あの部屋で何があったの?」


百「…『桜花』…ね」



百合はその名前を聞いた瞬間に
瞳の色を闇に染めていた。
俺はその瞬間、百合が壊れてしまいそうで
怖くなり、百合の目を自分の手で閉じた。


「もうやめろ…帰れ…俺の許可がおりるまで
 病室には入るな」


全「っ」  美「…はい」



全員が出て行き、2人になった空間で
最初に聞こえてきたのは自嘲の声だった。

目から手を離すと
百合の目には光が宿っていなかった。
自分ではないのに…凄く、胸が苦しい…



百「貴方もきっと裏切る…皆、そうだから」


そう笑いながら言った百合に
正直腹が立った。
こんな時にもなってなんで笑う?
泣けばいいだろ



百「出て行ってください」


「嫌だ」



顔をしかめた百合は点滴の針を外し
ベットから降りようとして
バランスを崩した


「おい!」


俺はギリギリの所で百合を抱き留めた