4月8日。

桜が舞う心地よい風


暖かい日差し


今日から中学一年生になりました。
華岡夏美です。この日を待ちわびていたような気もするしいよいよだな、という決意も湧いてくる。

この前まではとなりにあるあの建物の、小学生だったのに。


でもどこか、自分の中では緊張とわくわくが入り混じっている。

今日は、私の入学式。
新しいスタートの日。
小学校を卒業してまもなく、感覚がまだまだ子供のままで。


そんな複雑な気持ちのまま、小学校からいつも見ていたこの門に、一歩踏み入れる。



「はるか!おはよ!」

私は小学校からの親友に声を掛けた。

「制服にあってる!流石だね」

こうやって私のことを褒めてくれる人がいるなんて、なんて心強いんだろう。

「それよりさ!なつの事待っててクラス表見てないの。一緒に見よ!」

朝から賑やか。


あの子とクラス別れちゃった、とか部活何はいるの?とか、和気あいあいとしているけど私にとっては一大事なのだ。

この、クラス分けが。

私の住む家は、この中学校と同じA地区にある。


この学校はすぐ隣の、B地区と私の住むこのA地区の生徒が混合して成り立っている。

だからもちろん、初対面の人もいれば馴染の友達もいるし、なにより親友と一緒にこのひをむかえられたことに感謝したい。



先にクラス分けの名前を見つけたのは、はるかだった。


「私1年3組だって!なつはもう見つけた?」


「まだー」

早くクラスを把握したい。けれど、緊張して、目が貼り紙を捉えないでいる。

(はるかと同じクラスになりますように…)


華岡だから、はひふへほで後ろの方かな…?

1組。ない。





2組。ない。





1年3組…
42番 華岡夏美


やった。はるかと一緒だ。
これから楽しくやっていけそうだな。


「まだ見つからないの?クラスはなれちゃったのかもね…。」


「はるか。」



教室に行くまで、まっていてくれたはるかに私は声のトーンを下げて引っ掛けてみる。


「はるかと、クラスが…」


私はいかにもクラスが離れてしまったような演技をして、わざと言葉をつっかえてみる。


はるかは眉毛を下げて悲しげな顔になる。


「一緒だったよ!」

私は声のトーンを急に上げるとはるかに飛びついた。


「え!何だ!びっくりさせないでよ~も~」

はるかは笑いながらも安心したように胸に手を当てている。


「早く教室行こ!」



今日から楽しい日々が待っている。