おい。
聞いてない。
安田のいきなりすぎる発言に空いた口が塞がらない。
「食べ放題!?」
「うん。打ち上げ~。」
打ち上げ!?
ってことは夜ご飯!?
今日の夜ご飯、確かすき焼きなんだけど…。
「何も伝えてないよ!」
「親に?言っとけっつったじゃ~ん。」
いや、初耳だよ、あたしは!
絶対何人かで盛り上がってだけだろ!
「ほら、電話しな。」
「急すぎる!ってか、今日すき焼きなの。」
「知らねぇ、早く電話。」
すんげえ強引だな。
ってまあ、電話かけちゃってるけどさ。
おじさん出るかな…。
何コール目かで繋がったダルそうな声。
『………荒井です。』
「あ、あたし。」
『…オレオレ詐欺?』
「おじさん…。」
『ん?』
「沙凪だよ。」
『なんだお前か。忙しいから切るよ?じゃ。』
…ツーツーと見事な機械音。
仕方なくもう一回かけて繋がった電話。


