ありがとう。

『菜月〜。ただいま』



リビングのドアが開くと月菜を抱きかかえたお兄ちゃんとお兄ちゃんの腕の中でキャピキャピ喜んでいる月菜がいた。

「おかえり。」


私は愛想なく言う。



『菜月?怒ってる?』



『なっちゃん。しょうちゃんいないからさびしかったんね。』



『なに菜月、マジで?』


「んなわけないでしょ。」



『じゃあどうしたの?』



月菜を下ろして部屋着に着替えたお兄ちゃんが聞いてくる。


「なんで。連絡してくれなかったの。心配した。」


『ふふっ。心配してくれたの?ありがとう』


『ほらねぇ!なっちゃんさびちいなの。』



「私寂しかったの!」



『月菜も〜!』



『そうかそうか。ふたりともごめんな。』