「ねぇ、何かあるの?」
歩いている途中、日和が言った。
「ん?なにが?」
「時計、さっきから見すぎじゃない」
「あー…なんもないよ…」
そりゃ落ち着いていられないだろ。お前、死ぬんだぞまた。
…なんて言えるはずがない。
……いまは3時55分だった。
「…本当に今日大丈夫?」
「大丈夫だって…」
俺を心配する日和。
頼むから自分の心配をしてくれよ。
お前が死ぬところなんて、もう見たくない。
まあ、そうさせないけどね。“今日”こそ…
駅が見えてきた。学生が増える。
「あ!早くしないと!」
日和がカフェを指さした。
相変わらず…
開店を祝す旗が何個か立ち、パタパタと風に揺れている。
店の上には、遠くからでも見えるように大きな大きな看板が掲げられている。
駅周辺は賑わい、以前にも増して人が多い。
明るく、オレンジ色をテーマにしたカフェ。
列は…あの時と同じく、長蛇だった。


