そして五時を迎えた。
あと…10分。
「立花…くん」
俺の表情を見て何かを察したのか瀬川が呼んだ。
「なにか…あるの?」
時計をチラチラ見る俺に瀬川が問う。
「なにもないよ」
そう答えるしかなかった。
「ねぇもう帰ろうよ。いつまでいるの?」
日和がそう言って立ち上がった。
「ま、待て。まだダメ」
俺は日和の腕を掴み、引っ張って座るように促した。
「…なによ…」
日和は納得してなかったが大人しく座った。
数分して俺は立ち上がった。
「帰る?」
「まだ。大人しく座ってて」
日和の後ろへ行き、日和の両肩に手をかけた。
「ちょ…なに?」
日和が驚いて俺に振り向く。
日和の目の前の瀬川は真剣な顔をしていた。
「いいから…そのまま…」
前を向け、と顎で指示する。
日和は浮かない顔をして前を向いた。
瀬川の表情が険しくなった時、時計の長針は10を指した。
俺は日和を掴む手に力を込めた。
第三者がいて、俺が日和に触れている。
この状況でいったい、どう日和を殺そうと言うのか。
さらに力を入れ、目を瞑った瞬間だった。


