待て待て待て待て…!!
俺は混乱していた。
俺を見て笑う日和の声なんか入ってこない。
なんで…?
俺は日和の代わりに死んだはず…
確実に死んだはず…俺は死んだのに。
また振り出しに戻った………
なんでだよなんでだよなんでだよ!!!!
俺は死にもできないで永遠にこれかよ!?
ずっと永遠にループするのか!?
永遠に日和が死ぬのを見るのか!?
どうしたら終わる!?
混乱した俺は気がついたら瀬川の前に立っていた。
椅子に座る瀬川は驚いて俺を見上げている。
「話が違うじゃないか!!!」
俺の大きな声にみんなの視線が一気に集まる。
瀬川は相変わらずあの本を読んでいた。
俺はその本を奪い取った。
「これはやっぱりガセなのか!?お前の言ったことも嘘なのか!?」
教室は静まり返っている。
そんなことはどうでもいい。
もう、なんでもいい。
どうにでもなれ。
あの時の会話なんて瀬川が知るはずもないのに俺は瀬川を責めた。
俺は焦っていた。驚いていた。混乱していた。
「………え?」
瀬川の困惑した表情もお構い無しに俺は両手を瀬川の机に思い切りついた。
机を叩く乾いた音が教室に響く。
「なぁ!あれは違ったんだ…!本当のことを教えてくれよ!頼むから!!」
瀬川を責めても意味がない。
彼女は悪くない。
そんな判断すらできないくらい、取り乱していた。
「絶対成功すると思ったんだ……あれで間違いないと確信していたんだ……信じてたのに……」
「ちょっと…卓…」
気づくと日和は俺のそばまできていた。
周りの視線が痛いことに初めて気がついた。
「何してるの!?」
日和が強く俺に言った。
瀬川は怯えた目で俺を見ていた。
俺はその時初めて我に返った。
「あ……ご…ごめん…」
少しの沈黙のあと、教室は明るさを取り戻し、みんなの声が戻った。
「卓…なんか変だよ」
日和の冷たい目が突き刺さる。
俺は瀬川の本を机に置いた。
日和が側から立ち去ったあと、俺も自分の席に戻ろうとし、瀬川の席の横を通った。
そのとき
「ねぇ、」
瀬川が俺の腕を掴んだ。