階段を上がり、俺の部屋の扉を開ける。
「わぁ…本当シンプル…」
「変わってない?」
「変わってないかも」
日和はそう言って笑うと、部屋へと入った。
「卓っぽいねー…」
「そうか?」
部屋に日和がいるなんて昔と同じなのに…
変に緊張するな…
「静かでシンプルで落ち着きがある。
卓そのものだね」
日和が部屋を見渡す。
「まあ確かに…全体的には変わってないかもな」
「昔から卓と佑は似てないようで似てるよねー…」
「なにそれ」
「うーん例えば…部屋の雰囲気とか性格とか違うのに顔はそっくりだし本人たちの雰囲気は似てるし…」
「え?そう…?」
「そうだよ!昔から」
自分ではよくわからないが、客観的に見たらそうなんだろう。
「日和は本当、周りをよく見てるな」
「周りと言うか…卓をね!」
その一言にドキッとした。
顔が一気に熱くなった気がした。
「あの…さ」
「ん?」
俺の気持ちとは真逆な、無邪気な笑顔で日和が首を傾げる。
「…日和はそのうち、どこかへ行っちゃうのか」
急に変なことを言ってしまった。
不安になった。
恐怖に襲われ、無意味な質問を投げつけた。
「何言ってるの?」
日和が笑う。
「日和…俺…」
2人きりの部屋で、心臓が飛び跳ねる。
日和を前にして初めてこんなにドキドキしている。
「なに?」
日和が微笑む。
「俺……お前がいないとダメなのかもな…」
小さく呟いた日和への言葉。
「卓……?」
今言っても意味がないのに。
「どういう…意味…?」
鼓動が速くなる。
ドキドキして上手く話せない。
日和を見ることができない。
「卓…」
日和が言葉を続ける前に俺は言った。
「ま、まあ適当に見てて。
先行ってるよ」
「え、卓…」
俺は逃げるように部屋を出て、先にリビングへ戻った。


