「夏!」
ドアをガラッと開けた。
 でも、夏、いなかったの。 
「どうしたの?」
璃子が私に近づいて来た。
「私、璃子。教科書借りに来たの?」「ええ。数学の。」
「そう、大変ね。数学の先生、怖いし。」
「ごめんね。璃子ちゃん。」
「ちょっと、待ってて!」