わざわざ私の分の朝食を作ってくれたんだ……。
しかもホットケーキなんて、意外すぎる。
てっきり、朝食はどこからか盗んで食べたり、インスタントばかりだと思っていたから。
というか、私の分は無いと思っていた。
甘い味が、口の中に広がる。
喉に詰まっていた声に出せない言葉が、溶けていく。
そのまま、消えてなくなればいいのに。
「それ食ったら、シャワー浴びてこい」
「う、うん」
深月の指示通り、私はホットケーキを食べ終えた後、バスルームに行った。
全てを洗い流してくれるシャワーを、全身に浴びる。
ひどく冷たい感触を、拭い取るように。
久し振りに、温かさを感じた。
シャワーを浴びる前、脱衣所にはなぜか女物の着替えがあった。
可愛らしいワンピースと下着、それから寒くなった時のためか、長袖のパーカーまで。



