不意に、耳の奥のさらにずっと奥から、アイツのクスクスと笑う声が聞こえた。
その幻聴は、激しくなる鼓動の音に負けて、すぐに消えてしまった。
深月のがうつったのか、私の顔まで赤くなっていく。
「俺、お前のこと好きなんだけど」
深月は、真っ赤な顔を手のひらで覆うように隠しながら、指と指の隙間から私を見つめる。
「好き」って言葉が、私の体温を上昇させた。
頬に、熱が帯びていく。
「お前は、どう?」
深月らしくない自信なさげな声が、ドックンドックンと跳ねている心臓を刺激する。
これは、現実、だよね?
ふわふわしたような夢の中にいる気分だ。
あのね、深月。
私もいつかお嫁さんになるなら、私の隣には深月がいてほしいって思っていたんだよ。



