「私ね」 恥ずかしさを抑えながら、頬を赤らめて。 柔らかな笑顔を咲かせて、伝える。 「大切な人が、できたんだ」 ちゃんと家に帰ってくるから。 もう逃げないから。 だから、闇にうもれた街を走って、夜風を追い越して、大切な人に会いに行かせて。 今すぐ、会いたい。 ――黒龍に。